本村教授に聞く 企業と大学と共同研究 岩手大学とクーシーラボの研究内容とは?

現場を肌で感じる大切さ

現場の仕事についての話を聞いたり体験させてもらえるのは、社会に出る前に実践的な能力を培っていけるということ。学生たちは非常に恵まれた機会をいただいているといえます。1年生からこうした活動ができるなんていままではなかったことですから、とても刺激的で、学生たちの食いつきもいいんですよ。

というのも、地方は情報が来ないし仕事も少ない。実際、業界が動いている現場感はなかなか感じられないんです。そういった現場の臨場感をクーシーさんから直接伝えていただけるのは、こちらの学生にとっては貴重なことです。こちらは中小企業やSOHOが多く、就職先を見つけるのもなかなか難しい状況。いくら育てても首都圏に流出してしまいます。そんななか、クーシーさんがこちらに東京の仕事をもってきてくださるのは、すごくいい活力になるんです。

新しい学位の創出

バウハウスの考えかたに「アート&テクノロジー」という総合芸術としての大きな理念があります。僕は本来はバウハウスの研究者なので、現在のバウハウス運動というと少し大袈裟ですが、この大きなテーマを引き継いでいきたいという思いがあります。
そんななか工学部の先生たちと連携して、2009年4月から大学院の新しいコースをスタートさせます。これまでは工学部の場合、取得できる学位は工学だけだったのですが、新しく「芸術工学」という学位を取得できるコースが認められたんです。こういった小さな教育組織のなかでは、おそらく日本で初めての先駆的なことだと思います。通常、大学院はその研究科単位で学位を出すので、たとえば工学研究科では工学の学位、教育学研究科なら教育学の学位しか取得できない。ところがこれからは工学のいち専攻のなかで「芸術工学」の学位が出せる。学生は、工学と芸術工学、どちらの学位かを選べるようになります。

岩手大学の芸術文化課程映像メディア研究室では、イメージの商業的生産に将来的に関わるための基礎づくりをおこなっています。学生たちは映像、アニメーション、漫画、情報やエディトリアルなどの印刷物のデザイン、グラフィックデザイン、そしてWebデザインを専攻する学生たちが集まっています。

このなかのWebデザインでは、盛岡市産学官連携研究センター(コラボMIU)の取り組みのひとつとして、クーシーさんと共同研究を結んで活動できるようになりました。Webデザイナーを目指している学生たちは、クーシーさんに企画していただいた研修や講習会を受けてスキルを磨いています。

実際の案件と同様のフローでクリエイティブを体験してもらいます。Web業界で必要な技術と知識を在学中に身につけることが目的です。

相互の領域を行き来できる人材の育成を

工学と芸術は、学問領域としては別分野。でも実際社会に出ると、工学系のプログラマーと美術系のデザイナー、いわゆる異分野の人間同士が一緒に仕事をするわけです。そのときにコミュニケーションが難しい場合が往々にしてあるのですが、学生のうちから連携して課題をこなしていけば、プログラマーの心がわかるデザイナー、デザイナーの心がわかるプログラマー、お互いの領域のことがわかりつつ仕事ができる、つまり新しい時代のクリエーターの育成が可能になってくるんです。当面は、クーシーさんともこれを課題に研究を進めていければと思っています。
メディアコンテンツの分野は学問としてまだまだ始まったばかりということもあり、大学の研究組織がまだできあがっていない現状のなか、今回の共同研究はとても意義のあること。しかも大学1年生から大学院にいたるまでを一体化させた教育活動をクーシーさんと進められることは、大きな一歩だと思います。

岩手大学教育学部 教授、博士(芸術学)
熊本県生まれ。バウハウスの精神に学び、総合的・実験的に表現及び人材育成を研究。

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